自分の目標ははっきり見えていて、キャリアコンサルティングなんて必要ないと思っていました。興味がありませんでしたし、他人に自分のキャリアのことを相談するなんて、自分のことがわかっていない弱いやつだと、正直バカにしていたようなところもあったと思います（すみません……）。自分の目標はとにかく出世すること。同期より早く管理職になりましたし、周りから「将来の役員候補」なんて言われることも珍しくありませんでした。うちの会社は、役員になると、自分専用の部屋と車と運転手がつくんですよね。なので、早くそれを手に入れたいと、ずっと必死で頑張ってきました。営業ノルマは何が何でも達成しましたし、管理職になってからは、部下にも達成させようと強めのマネジメントをしてきたと思います。しかし数年前、部長昇進間近か、という時期になって、部下が立て続けに辞めてしまったり、メンタルヘルス不調で休職してしまったんです。自分がパワーハラスメントをしたのが原因ではないかと追究されることになって、非常にまいりました。結局、強いお咎めはなかったのですが、アンガーマネジメント研修というのを個別に受けさせられました。何より、その一件で、担当役員の私を見る目が変わってしまった、そのことが辛かったです。出世の道は閉ざされたと感じ、目の前が真っ暗になりました。はっきり見えていた目標がなくなってしまい、気分はどん底で、自分もメンタルヘルス不調になりそうでした。弱い部下のせいで自分がとばっちりを受けた……正直、そんな恨みに似た気持ちも出てきてしまい、一方で、そういう自分に自己嫌悪を覚えたりもしました。プライドがズタズタになってしまい、藁をもつかむような思いで、以前はバカにしていたキャリアコンサルティングを受けることにしたのです。桜又さんは、「〇〇さんの、これまでの仕事の『目標』はわかりました。では、〇〇さんが仕事をしている『目的』は、なんだったのですか？」というようなことを聞いてきました。目的？はて？……というような顔を私がしていたのでしょう。桜又さんは「どうしてこれまで、そんなに頑張ってこられたのですか？どんなときに、仕事って面白いものだな！いいものだな！って感じましたか？」と聞いてきました。そのとき、ふと、新入社員のときに、初めて契約がとれたときのことを思い出したのです。お客様が「いいものを提案してくれてありがとう」と言ってくださって、その言葉がすごく嬉しかったことを思い出しました。いいものを提案する。それでお客様がありがとうと言ってくれる。それが私の原点で、つまるところ、その言葉を聞き続けたくて仕事をしてきたようなものだということに、改めて気づいたのです。桜又さんは「〇〇さん、いったん、『目標』は横に置いておいて、お客様のその言葉をきく、という原点に帰りませんか？」と言ってくれました。「その原点をもう一度追求していたら、きっとまた、自然と新しい『目標』も見えてくるのではないでしょうか」と。そう考えたら何かスッキリして、ゴチャゴチャしたものがすーっと頭から消えていくような感じがしました。桜又さんは優しそうに見えて、実は言うべきことは結構ハッキリ言ってくるのですが（笑）、だからこそ頼りになるパートナーのような存在だと思っています。